茨城県沖合は黒潮と親潮がまじり合う生産力豊かな海域であり、マイワシやマサバなどの回遊性魚の好漁場が形成されます。
これらの魚を漁獲する大中型巻き網漁業は、茨城県の海面総漁獲量の8割を漁獲する本県の代表的な漁業であり、当漁業を軸として漁港周辺には運送業、冷凍・加工業などの関連産業も発達してきました。
茨城県の大中型巻き網漁業は、網船(本船)の総トン数が15トン以上の漁船により、巻き網を使用して行う農林水産大臣の許可漁業で、平成7年末現在、80トン型の網船主体に11経営体16船団が操業しています。
通常1船団は網船1隻、魚探船1隻、運搬船2隻の計4隻からなり、各船がそれぞれ役割分担して効率よく操業します。 1船団の乗組員は46名程度で、網船に船団の最高責任者で操業の指揮をとる漁労長が1名乗船するほか、 各船には船長、機関長、通信長などの幹部船員が配置されます。
新規に乗組員となった場合には、甲板員・機関員として漁業の仕事に従事することとなります。
社長
├ 漁労長
├ 船 長
├ 機関長・通信長
├ 航海士・機関士
└ 甲板員・機関員
乗組員は出港予定の30分~1時間前には船に集合し、エンジンを始して、計器類、機械類の調整を行います。
巻き網の操業は夜から朝にかけて行われます。
漁場の位置により出港時間は異なりますが、通常夜中に出港します。
1航海の操業回数(網を入れる回数)は2~3回程度で、翌日の昼頃に入港して、1航海の操業を終えます。
予定の漁場に到着すると漁労長の指揮下で各船が魚群探知機により魚の群を探します。 魚群を見つけると網船は長さ約1400mの網で素早く群を巻き、バランス良く網を巻き揚げます。 乗組員は役割分担して連携プレーで作業を行います。 1回の操業には約2時間かかります。
揚網が終わりに近づくと作業は運搬船への魚の積み込みへと進みます。 鮮度良く漁獲物を市場に揚げるため、運搬船は漁獲物を積み終えるとただちに漁港に向かいます。 操業回数の多いとき、運搬船は漁港と漁場とを往復して魚をピストン輸送します。
運搬船の乗組員は漁獲物の陸揚げ、氷の積み込み作業を行います。網船等の乗組員は網の修理やエンジンの整備などを分担して行い、次回の操業に備えた後、解散となります。